玉緑茶は、九州中北部で生産されている緑茶の一種で、大きく分けて「蒸し製玉緑茶」と「釜炒り製玉緑茶」の2種類があります。
両方とも茶葉の形が特徴的な勾玉状なのは同じですが、製造方法が大きく異なります。
歴史は“釜炒り製”の方が古く、戦国時代末期に中国の製茶法が九州に伝えられたものと言われています。
“蒸し製”は大正末期から昭和初期にかけ、中国茶が好んで飲まれていた旧ソ連への輸出を増やすために、中国の釜炒り茶に似たお茶として開発されました。
「玉緑茶」という名前は、“蒸し製”の輸出が急増した1932年に公募で決定したものです。
なので、もともと「玉緑茶」とは「蒸し製玉緑茶」のことを指しており、“ぐり茶”という愛称でも知られています。
一方の“釜炒り製”は、今では単に「釜炒り茶」と呼ばれることが多くなっています。
緑茶は摘採後にすぐに加熱することで発酵を止める「不発酵茶」で、
「蒸し製玉緑茶」は、茶葉を高温で蒸して発酵を止めます。
一方の「釜炒り製玉緑茶(釜炒り茶)」は、茶葉を釜で炒って発酵を止めるため、炒ることで生まれる「釜香(かまか)」という独特の香ばしい香りを楽しむことができます。