古代の製塩壺が発見された上鎌刈島の美しいビーチ。

藻塩作りの古代窯焼き

発掘現場の跡地に建てられた工場

今から20年以上前の1984年、県民の浜の復元調査中に、古墳時代の製塩用土器が発見されました。この発見が藻塩研究の始まりとなり、「藻塩の会」設立にも繋がりました。この古代製塩土器の発掘者であり、30年以上考古学者として活動してきた松浦千秋氏は、1000年以上前に行われた古代製塩法の研究を主導してきました。
決して容易な道のりではありませんでした。製塩壺が発掘されたにもかかわらず、歴史家に製塩法について尋ねても、皆「分かりません」という答えばかりでした。そもそも、製塩に関する記録や資料すら存在しなかったのです。
皆、途方に暮れていましたが、松浦さんは8世紀に書かれた日本最古の歌集『万葉集』を参考に、別のアプローチを試みてくれました。万葉集には海と塩をテーマにした歌がいくつかあり、「藻塩」という言葉が使われていることを発見しました。そこから、丸い浮袋を持つ海藻「タマモ」、つまりホンダワラ(ホンダワラ)という言葉を拾い上げたのです。
約10年の歳月を費やし、藻塩の製法を解明しました。乾燥させたホンダワラを海水に浸し、これを繰り返すことで高濃度の塩水を作り、これを土鍋で煮詰めて結晶塩にするのです。この古代の土鍋製塩法はシンポジウムで発表され、考古学協会にも認められ、大きな注目を集めるとともに、「海人の藻塩」が誕生した記念すべき瞬間となりました。
藻塩協会が復活させた藻塩を口にした瞬間、人々は古代にこんな美味しい塩があったとは信じられなかった。先人たちが藻塩作りを通して培ってきた知恵、技術、そして味を後世に伝えたいという思いから、1998年7月、現在の広島県呉市と豊和商事株式会社が共同で釜刈物産を設立。製塩釜が出土したまさにその場所に製塩所を建設したことが、藻塩作りの始まりとなった。
海の恵みを受け止め、塩づくりに励んだ先祖たちへの感謝と想いを込めて、この商品は「海人の藻塩」と名付けられました。1000年を経て、「海人の藻塩」がついに発売!