この記事では、茶筅(抹茶を点てる際に使用する竹筅)の主な部品の日本語用語を解説します。部品の用語は日本語で書かれていますが、この記事が茶筅への理解を深め、特定の側面を(再)認識する一助になれば幸いです。部品によっては、より詳しく説明されているものもあります。最後に、茶筅に関するよくある質問も掲載しています。
茶筅の部品
穂先(日本語:穂先)
茶筅の歯、突起、または歯のこと。一般的に茶筅には約80~120本の突起があります。しかし、突起の数は茶筅の種類によって大きく異なり、最低でも約16本です。突起の数が多いほど茶筅は細く繊細になり、より滑らかな抹茶の抽出につながります。また、泡立ちも良くなります。この点については後ほど詳しく説明します。この記事の「よくある質問」セクションでは、突起の数の違いについて詳しく説明しています。
茶じみ
茶筅の中央にある束状の突起部分を「茶締」と呼ぶこともあります。穂先を外側の円状の突起、茶締を内側の(束状の)突起と考えてください。
私たち自身は試していませんが、あるブロガーは茶筅の茶締を切り取って抹茶を点てられるか実験してみました。茶締がなくても抹茶を点てることはできたものの、抹茶の風味が全く違うことに気づきました。茶締は抹茶の粉とお湯を混ぜ合わせる際に重要な役割を果たします。
かがり糸(かがり糸/からみ糸)
日本語では「かがり糸」または「からみ糸」と呼ばれる、茶筅の根元を固定する糸のことです。ほとんどの茶筅は黒の綿糸で編まれています。これは、抹茶を点てた後に汚れが目立ちにくいためです。
かがり糸の定番色は黒です。虹色は翠花園( 谷村安三郎作:七色茶筅 新抹茶筅)の中でも特にお気に入りの色です。
黒糸が基本ですが、流派や趣向により白糸や赤糸を使用する場合もあります。白糸を使用する流派としては、石州流、織田有楽流、町田流、遠州流、細川三斎流などがあります。時代とともに、唐糸の色も流派によって変化してきました。例えば、石州流は紺色、遠州流は黒糸を使用します。赤糸や紅白糸の組み合わせは、古くから祝い事などに用いられてきました。還暦を祝う茶会では、赤糸の茶筅や赤茶巾などが用いられます。確証はありませんが、仏事では黄糸の茶筅が用いられると聞いています。
翠花園の高山茶筅をご存知の方は、黒、白、赤以外の色のからみ糸があることにもご存じかもしれません。これは比較的最近の傾向のようです。このアイデアの始まりは、約30~40年前、裏千家の外国人クラスがクリスマスパーティー用に緑、白、赤で編んだ茶筅(丹後谷村作)を注文したことがきっかけだと言われています。注文を受けた谷村さんは興味をそそられ、どんな色の組み合わせが可能なのか興味を持ちました。高山の熟練した職人への海外からの注文では、かがり糸の色を特別に注文されることが増えているそうです。もしあなたが茶筅を特別注文するとしたら、どんな色をリクエストしますか?
むすびめ (結び目)
かがり糸の結び目。方向性にこだわりがある方のために、茶筅には方向性があります。結び目のある側が正面で、手前に向けます。
じく(軸)
抹茶を点てるときに持つ部分。日本語で「軸」とは軸を意味します。茶筅の場合、「 軸」は竹の柄の部分を指します。
フシ (節)
2 つの竹の部分の間にある、自然に生じたわずかに突き出た接合部 (節) を指します。
今回のブログ記事では、茶筅の様々なパーツについてご紹介しました。次の記事では、同じく竹で作られた、非常に細くて繊細な抹茶杓である茶杓についてご紹介します。最後に、茶筅に関するよくある質問をいくつかご紹介します。お役に立てれば幸いです。
茶筅に関するよくある質問
Q: 交換の基準は何ですか?
茶筅の寿命は驚くほど長いです。しかし、先端が折れ始めたら、交換時期の目安になります。
Q: 茶筅の修理は可能ですか?
あなたにとって大切な茶筅をお持ちかもしれません。しかし、先端が折れたり、柄にひびが入ってしまったりしたら、修復は不可能です。
竹製のため、乾燥や急激な温度変化により割れる場合がございますので、ご注意ください。また、湿気の多い場所に放置するとカビが生えやすくなります(日本のような湿気の多い地域では特にカビが生えやすいです)。茶筅は風通しの良い、日陰で涼しい場所に保管してください。
Q: プロングの数の違いによる違いは何ですか?
茶筅の歯数は16本~120本程度と幅広く、茶筅の中でも70本歯が標準的で一般的です。歯数が多いほど泡立ちが良くなりますが、茶筅は一本の竹を割いて作られるため、歯数が多いほど持ち手が太くなり、抹茶を点てる際に持ちにくくなるというデメリットがあります。
初心者には、80~100本程度の歯数のものがおすすめです。歯数による茶筅の違いを表にまとめました。それぞれ特徴や用途が異なります。

Q. 茶筅のお手入れ・掃除方法を教えてください。
茶筅のお手入れについてですが、茶筅は竹でできていることを念頭に置いてください。茶筅は生のものです。カビが生えたり、折れたりすることもあります。抹茶を点てる時やその後のお手入れの際には、できるだけ優しく扱ってください。特に茶筅の穂先は繊細で傷つきやすいので、取り扱いには十分ご注意ください。もちろん、すべての茶筅は優しく愛情を込めて扱うべきです。もしあなたが手造りの高山茶筅をお持ちでしたら、職人が丹精込めて作り上げた美しい茶筅であることをお忘れなく。どうぞ、あなたの茶筅を大切に、敬意を持ってお取り扱いください。
新しい茶筅を使う前に知っておくべきヒント
新品の茶筅を初めてお使いになる前に、軽く水で洗ってください。ボウルや容器に十分な量の水を入れ、茶筅の先端を優しく振れる程度にしてください。蛇口から直接水をかけると茶筅の底に水が入り、カビの発生につながる可能性があるため、避けてください。
茶筅のアフターケア
茶筅は使用後、できるだけ早く洗うことが最も大切です。前述の通り、蛇口から直接水を出すのではなく、ぬるま湯を張ったボウルで茶筅を洗うのがベストです。抹茶の汚れを落とすなど、指で茶筅の穂先を優しくこするのは構いませんが、優しく洗うことが重要です。茶筅を洗う際は、スポンジや洗剤は使用しないでください。また、水分が残っているとカビが生える原因となるため、乾燥も重要です。風通しの良い日陰で乾燥させるのが最適です。茶筅の柄は清潔なタオルで拭いても構いませんが、その他の部分は自然乾燥させるのが理想的です。
茶筅の保管方法
茶筅は長年使っていると、どうしても形が薄くなっていきます(下図参照)。
上の写真は両方ともかなり古い茶筅(亡くなった祖母が所有していたもの)ですが、右側のものはかなり細くなっているのがお分かりいただけると思います。
茶筅を立てて保管し、歯を上に向けていると、茶筅の先端は自然と細くなっていきます。しかし、専用の茶筅立てに保管することで、茶筅の美しい形を長持ちさせることができます。これは日本語で「くせ直し」または「茶筅休め」と呼ばれ、いわば「癖を直す」「茶筅を休める」という意味です。
左:ガラスの茶筅ホルダー水花園。右の写真( モダンな泡立て器スタンド)のようなシンプルで素敵なものもあります。
もちろん、誰もが茶筅ホルダーを買う余裕があるわけではないし、必要性を感じない人もいるでしょう。それは全く問題ありません。しかし、茶筅を元のプラスチック容器に保管することは絶対にしないでください。一度使用した後、このような容器に保管するのは通気性が全くないため、お勧めできません。元のプラスチック容器に保管することを検討するのは、茶筅を短期間だけ持ち運ぶ時くらいでしょう。
Yunomi Teaのベーシックな抹茶筅茶筅(120本爪) 。画像は、使用済みの茶筅を保管してはいけないプラスチック容器です。
Q. 日本の茶筅と中国の茶筅の違いは何ですか?
日本製と中国製の茶筅は様々な点で異なります。消費者が注目しがちな価格以外の大きな違いの一つは、品質です。どちらも竹から作られていますが、製造工程は大きく異なります。例えば、奈良県高山市の茶筅職人は、竹を伐採し、完全に乾燥するまで2~3年待ってから茶筅を作り始めます。一方、中国製や海外製の茶筅は大量生産されることが多いため、竹を伐採しても待つことはありません。伐採した竹を漂白して色を変え、自然乾燥で得られる日本の茶筅の色に近づけます。伐採された茶筅は完全に乾燥していないため、虫害を防ぐために殺虫剤が散布されることもあります。プラスチックの箱に入れられた茶筅の横には、乾燥剤のビーズが入っていることが多いです。日本の茶筅作りの職人技について詳しく知りたい方は、「 茶筅作りの芸術」をお読みください。
コストパフォーマンスを重視する方には、外国産の茶筅がおすすめです。品質を求める方には、奈良県高山産の茶筅がおすすめです。茶筅選びでお困りの方は、こちらのブログ記事「 抹茶筅をお探しですか?おすすめの商品はこちら」をご覧ください。