遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます!2023年が皆様にとって良いスタートとなりますよう願っております。
今日、1月20日は日本では「大寒」です。大寒は一年で最も寒い時期とされています。大寒は通常、日本の伝統的な暦である二十四節気の最後の期間である1月20日から2月3日までを指します。この期間が過ぎると、待ちに待った春が訪れます…
少し話題を変えて、今日は有名な日本のことわざ「一期一会」について触れようと思います。海外で長年過ごしてきた私にとって、長年心に残っている日本のことわざはほんのわずかで、「一期一会」もその一つです。このことわざは日本の茶道に由来するものなのに、湯呑みについてまだ書いていないことに驚きました。さあ、今がチャンスです!
「一期一会」は漢字で「一度きりの出会い」を意味し、一瞬一瞬を生きるという概念を表現しています。では、このことわざはお茶とどのような関係があるのでしょうか?
その歴史は16世紀の日本、千利休の茶道の時代にまで遡ります。当時、茶を点てる瞬間に立ち会うことが求められていました。参加者は、茶道に込められたその瞬間は二度と繰り返されないという思いを胸に、茶会に臨みました。このことわざは、 19世紀半ばに井伊直弼(1815年 - 1860年)という茶人によってさらに強調されたと言われています。彼は常に暗殺の脅威にさらされていたため、毎日、まるで最後の日であるかのように茶を点てていたという逸話があります。こうして彼は、茶はかつてないほど独特で美しいものになったと語っています…
日本のサイドハンドル急須で淹れた美しく唯一無二のお茶。写真は末吉茶房より。
一杯のお茶を意識的に飲むというこのアプローチは、ベトナムの僧侶ティク・ナット・ハン(タイ)の教え、あるいは人生の無常を受け入れる生き方を思い起こさせます(1)。多くの人が、一杯のお茶を意識的に楽しむタイの方法を引用しています。
「お茶をゆっくりと、そして敬虔に飲みなさい。まるで地球が回る軸のように。ゆっくりと、均等に、未来へ急がず。今この瞬間を生きなさい。人生とは、この瞬間だけなのです。」
大学院生だった頃、Thayの教えは私に大きな影響を与えました。なぜなら、私は常に「ある」のではなく「する」必要があると感じていたからです。不安を少しでも拭い去ろうとしていた時、Thayの言葉を聞くと、どれほど心が安らいだかを覚えます。
マインドフルネスとは、私たちが何をしているかに完全に意識を集中することです。お茶を飲む時は、ただお茶を飲みましょう。心配事や計画、後悔などを飲み込まないでください。カップを持つ時は、息を吸い込み、心を体に戻し、思考を止め、完全に今この瞬間に集中しましょう。その瞬間、あなたは現実となり、一杯のお茶も現実となります。真の存在感と自由の中で、ただお茶を飲む喜びを味わうことができます。
ティク・ナット・ハンの教え、仏教、あるいはマインドフルネスに詳しい方なら、 「一期一会」という日本のことわざに馴染みがあるかもしれません。現代の日本では、「一期一会」は茶道に限った言葉ではなく、一生に一度しかない特別な出会いを指す言葉として広く使われています。たとえ定期的に会う人であっても、その出会いはその瞬間にしかないからです。ちなみに、これは有名なアメリカ映画『フォレスト・ガンプ』の邦題にもなっています。
人間には、過去にとらわれたり、未来に思いを馳せたりする力があります。キリングワース氏らによる有名な研究で、私たちは約46%の時間を、心をさまよわせ、ネガティブな思考に囚われていることが示されたことをご存知かもしれません(2) 。今この瞬間を精一杯生きるには継続的な実践が必要ですが、この新年には、お茶を片手に「一期一会」のひとときを数多く過ごせますように。お茶を心から味わう時間と空間、つまりお茶と共に過ごす、そんな素敵な時間を過ごしていただければ幸いです。そして、お茶と共に過ごすこのアプローチ/実践が、人、動物、植物、そしてそれ以外の様々なものとの出会いにも自然と広がっていくことを願っています…!
一杯のお茶を囲んでの、思い出に残る一期一会。私にとって、最高のお茶はバックパッキング中に山で飲むお茶なんです!
参考文献:
- 出口は中にある:本当にお茶を飲みたい? スローダウンするための実践的な方法
- キリングスワース, MA, ギルバート, DT (2010). さまよう心は不幸な心である.サイエンス, 330 (6006), 932-932.
注目の画像:茶園での霜の降りた新年のご挨拶。写真は梶原茶園によるものです。